ニュージーランドプロジェクトの記事一覧
【開催レポート】~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッショングループ~ 20...
2026年9月。ニュージーランド大使館、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が、13・14日の2日間にわたり「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッショングループ 2026」を共催いたしました。当日は酪農家をはじめ、新規就農予定者や酪農関係者が現地に集結。放牧大国ニュージーランドから来日した専門家、ブルース・ソロルド氏を中心に、北海道の放牧酪農について議論、意見交換、情報共有などが行われました。1.現地で学ぶ放牧の事例1-1. 興部町・㈱Rich field 松岡牧場放牧3年目になる松岡牧場では、実際に放牧地の草の量を計りつつ、「牛の健康を守りながら、どうやってTMR(混合飼料)主体の体系から草の利用率を高めていくか」という議論が交わされました。TMR給与後に放牧を行っている松岡牧場では、牛たちが十分に草を食べてくれないという課題がありました。この背景には、草を食べさせるためTMRを減らそうにも、過去にケトーシスが発生した経験から、減らせばまた牛の状態が悪化するのではないかという懸念がありました。ブルース・ソロルド氏はこれに対し、TMRは牛にとって美味しすぎるご馳走のようなものだと説明。草を十分に食べてもらうためには感覚的な判断で量を調整するのではなく、牛のBCS・乳量・乳成分などを確認しながら、段階的に行うよう提案しました。また、放牧に唯一無二の正解はないと留保したうえで、給与順序の工夫なども案としてあげられました。1-2. 天塩町・高原牧場長年放牧をしている高原牧場では、プレートメーターを用いた草量計測時の誤差やより放牧に適した牛づくりについて議論が交わされました。草の成長速度は、季節や気温で異なってくるもの。牛を放牧する際には、この草の成長速度と牛が草を食べる速度のバランスを見る必要があります。高原牧場では、こうした草の管理のために、プレートメーターという草の量を計る機械を用いて日々の管理を行っています。しかし、プレートメーターを使うのは人であるため、計測する人が変わればその分、誤差が生じることも。実際、現地での測定では多少の誤差が確認されました。ブルース・ソロルド氏はこれに、プレートメーターの出す数値が絶対ではないことを強調。牧場主である高原氏も質問者に対し、プレートメーターの数値は牛の行動・乳量・天候と組み合わせて翌日の判断に使っていると述べました。2.新規就農予定者、地域酪農家との交流現地では、放牧のメリットである労働時間の短縮やコスト削減の話から牛の健康にまつわる話まで、2日間ともに実体験ベースの交流が盛んでした。現地のディスカッションでは、放牧による蹄病(DD等)の減少などが実体験として新規就農予定者や地域酪農家に共有されていました。また参加した学生からは、「小型の牛の方が牧草を効率よく利用できる」といった放牧特化の知見が良い学びになったとの感想も。3.酪農の今後について本プロジェクトには北海道庁・振興局や関係機関の方々も多数参加されており、現在の支援制度や新規就農者への技術伝達の場などについても、議論が交わされました。またイベント終了後も、参加者たちの熱意溢れる交流は1時間近く続きました。4.次回の開催予定詳細は公式HPまたはSNS(X、Instagram)などで随時発信してまいりますので、更新をお待ちください。
【開催レポート】~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッショングループ~ 20...
2026年9月。ニュージーランド大使館、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が、13・14日の2日間にわたり「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッショングループ 2026」を共催いたしました。当日は酪農家をはじめ、新規就農予定者や酪農関係者が現地に集結。放牧大国ニュージーランドから来日した専門家、ブルース・ソロルド氏を中心に、北海道の放牧酪農について議論、意見交換、情報共有などが行われました。1.現地で学ぶ放牧の事例1-1. 興部町・㈱Rich field 松岡牧場放牧3年目になる松岡牧場では、実際に放牧地の草の量を計りつつ、「牛の健康を守りながら、どうやってTMR(混合飼料)主体の体系から草の利用率を高めていくか」という議論が交わされました。TMR給与後に放牧を行っている松岡牧場では、牛たちが十分に草を食べてくれないという課題がありました。この背景には、草を食べさせるためTMRを減らそうにも、過去にケトーシスが発生した経験から、減らせばまた牛の状態が悪化するのではないかという懸念がありました。ブルース・ソロルド氏はこれに対し、TMRは牛にとって美味しすぎるご馳走のようなものだと説明。草を十分に食べてもらうためには感覚的な判断で量を調整するのではなく、牛のBCS・乳量・乳成分などを確認しながら、段階的に行うよう提案しました。また、放牧に唯一無二の正解はないと留保したうえで、給与順序の工夫なども案としてあげられました。1-2. 天塩町・高原牧場長年放牧をしている高原牧場では、プレートメーターを用いた草量計測時の誤差やより放牧に適した牛づくりについて議論が交わされました。草の成長速度は、季節や気温で異なってくるもの。牛を放牧する際には、この草の成長速度と牛が草を食べる速度のバランスを見る必要があります。高原牧場では、こうした草の管理のために、プレートメーターという草の量を計る機械を用いて日々の管理を行っています。しかし、プレートメーターを使うのは人であるため、計測する人が変わればその分、誤差が生じることも。実際、現地での測定では多少の誤差が確認されました。ブルース・ソロルド氏はこれに、プレートメーターの出す数値が絶対ではないことを強調。牧場主である高原氏も質問者に対し、プレートメーターの数値は牛の行動・乳量・天候と組み合わせて翌日の判断に使っていると述べました。2.新規就農予定者、地域酪農家との交流現地では、放牧のメリットである労働時間の短縮やコスト削減の話から牛の健康にまつわる話まで、2日間ともに実体験ベースの交流が盛んでした。現地のディスカッションでは、放牧による蹄病(DD等)の減少などが実体験として新規就農予定者や地域酪農家に共有されていました。また参加した学生からは、「小型の牛の方が牧草を効率よく利用できる」といった放牧特化の知見が良い学びになったとの感想も。3.酪農の今後について本プロジェクトには北海道庁・振興局や関係機関の方々も多数参加されており、現在の支援制度や新規就農者への技術伝達の場などについても、議論が交わされました。またイベント終了後も、参加者たちの熱意溢れる交流は1時間近く続きました。4.次回の開催予定詳細は公式HPまたはSNS(X、Instagram)などで随時発信してまいりますので、更新をお待ちください。
【開催レポート】「1頭」から「1ha」の収益へ。ニュージーランド×北海道 放牧オンラインセミナ...
2026年5月29日、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、そして弊社ファームエイジ株式会社の共催による「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト 放牧オンラインセミナー2026春」を開催いたしました。当日は、現役の酪農家さんをはじめ、関係団体の方々、新規就農を目指す方、さらには海外での放牧経験を持つ方など、約70名もの皆様にオンライン(Zoom)でご参加いただきました。ニュージーランドから放牧のスペシャリストであるキース・ベタリッジ氏とブルース・ソロルド氏を迎え、北海道で実践する酪農家さんを交えて行われた熱意あふれる議論の様子を、ダイジェストでお届けします!1.北海道の酪農家による「集約放牧」実践事例まずは、北海道で実際に放牧へ取り組み、大きな成果を上げているお二人の酪農家さんから、リアルな現場の声をお話しいただきました。2-1. 小区画管理による「集約放牧」への転換(興部町・リッチフィールド/松岡洋平 氏)フリーストール牛舎の建設後、思うように放牧が進まず本プロジェクトに参加したという松岡氏。従来型の放牧から、放牧地を16〜17の小区画(牧区)に分けて細かく管理する「集約放牧」へと大きな転換を図りました。3年間の実践を通じ、牛が放牧草を効率よく採食できるようになり、結果として配合飼料の給与量削減に成功。現在は近隣の離農跡地も活用し、さらなる放牧地の拡大を進めているという力強いご報告をいただきました。2-2. 「1頭当たり」から「1ヘクタール当たり」の経営へ(天塩町・高原牧場/高原弘雄 氏)高原氏のお話で非常に印象的だったのは、その「発想の転換」です。従来の「1頭当たりの乳量」を追求する考え方から、「1ヘクタール当たりの収益」を重視する土地利用型経営へシフト。現在は最大43牧区を活用した集約放牧を実践されています。これにより、飼料コストや労働時間を大幅に削減し、外部環境(飼料価格の高騰など)に左右されにくい強固な収益構造を構築。「放牧は感覚ではなく、改善の積み重ね。観察とデータを基にした意思決定が重要である」という言葉には、多くの参加者が頷いていました。2.本場NZの専門家と考える、放牧技術と経営マインドセミナー後半のディスカッションでは、ニュージーランドの専門家2名を交え、放牧を成功させるための考え方や課題について深掘りしました。3.放牧成功のための三原則 (キース・ベタリッジ 氏)キース氏は、放牧成功の鍵として「搾乳施設と放牧地の距離」を挙げ、従来の舎飼い中心の固定観念を見直す必要性を指摘しました。 草地管理の徹底が最優先: 品種や牧草の種類にこだわる前に、まずは今の草地管理を徹底することが経営改善への近道。 外で学ぶ文化を持つ: 酪農家同士が互いに学び合う「コミュニティワーク」が、持続可能な酪農経営には不可欠である。 4. 経営戦略と現場観察の両立 (ブルース・ソロルド 氏)ブルース氏は、「どのような酪農を実現したいのか」という根本的な経営戦略の重要性を説きました。 戦略なき観察は活きない: 「何頭飼うか、どれだけの土地を使うか、どんな飼料体系にするか」を明確にした上で、現場での牛の行動や残草量の細かな観察を続けることが求められる。 利益の差は「スキル」の差: 100%放牧型から購入飼料を活用するシステムまで多様な形態があるが、利益に差を生むのはシステムの違いではなく「経営・放牧管理のスキル」である。 データ至上主義: すべての意思決定は「データ(数値による可視化)」に基づくべきである。 5. 放牧を「できる」に変えるための4つのポイント最後に、本セミナーの司会を務めた弊社(ファームエイジ)の高田健次より、放牧を実践し成功させるための総括として、以下の4つのポイントを挙げさせていただきました。 情報を実践へ変える「モチベーションと学習意欲」 草地利用効率を高めるための「データ活用」 ディスカッショングループを通じた「仲間との学び合い」 行政・産業による「多角的な支援体制の活用」 放牧は一人で悩むのではなく、データに基づき、仲間と共に学び合いながら改善していくことが大切です。6. 次回のイベント・セミナー開催について本プロジェクトでは、今後も現場実践を通じた放牧酪農の発展と、持続可能な酪農を担う人材育成を目指し、以下の活動を予定しています。...
【開催レポート】「1頭」から「1ha」の収益へ。ニュージーランド×北海道 放牧オンラインセミナ...
2026年5月29日、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、そして弊社ファームエイジ株式会社の共催による「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト 放牧オンラインセミナー2026春」を開催いたしました。当日は、現役の酪農家さんをはじめ、関係団体の方々、新規就農を目指す方、さらには海外での放牧経験を持つ方など、約70名もの皆様にオンライン(Zoom)でご参加いただきました。ニュージーランドから放牧のスペシャリストであるキース・ベタリッジ氏とブルース・ソロルド氏を迎え、北海道で実践する酪農家さんを交えて行われた熱意あふれる議論の様子を、ダイジェストでお届けします!1.北海道の酪農家による「集約放牧」実践事例まずは、北海道で実際に放牧へ取り組み、大きな成果を上げているお二人の酪農家さんから、リアルな現場の声をお話しいただきました。2-1. 小区画管理による「集約放牧」への転換(興部町・リッチフィールド/松岡洋平 氏)フリーストール牛舎の建設後、思うように放牧が進まず本プロジェクトに参加したという松岡氏。従来型の放牧から、放牧地を16〜17の小区画(牧区)に分けて細かく管理する「集約放牧」へと大きな転換を図りました。3年間の実践を通じ、牛が放牧草を効率よく採食できるようになり、結果として配合飼料の給与量削減に成功。現在は近隣の離農跡地も活用し、さらなる放牧地の拡大を進めているという力強いご報告をいただきました。2-2. 「1頭当たり」から「1ヘクタール当たり」の経営へ(天塩町・高原牧場/高原弘雄 氏)高原氏のお話で非常に印象的だったのは、その「発想の転換」です。従来の「1頭当たりの乳量」を追求する考え方から、「1ヘクタール当たりの収益」を重視する土地利用型経営へシフト。現在は最大43牧区を活用した集約放牧を実践されています。これにより、飼料コストや労働時間を大幅に削減し、外部環境(飼料価格の高騰など)に左右されにくい強固な収益構造を構築。「放牧は感覚ではなく、改善の積み重ね。観察とデータを基にした意思決定が重要である」という言葉には、多くの参加者が頷いていました。2.本場NZの専門家と考える、放牧技術と経営マインドセミナー後半のディスカッションでは、ニュージーランドの専門家2名を交え、放牧を成功させるための考え方や課題について深掘りしました。3.放牧成功のための三原則 (キース・ベタリッジ 氏)キース氏は、放牧成功の鍵として「搾乳施設と放牧地の距離」を挙げ、従来の舎飼い中心の固定観念を見直す必要性を指摘しました。 草地管理の徹底が最優先: 品種や牧草の種類にこだわる前に、まずは今の草地管理を徹底することが経営改善への近道。 外で学ぶ文化を持つ: 酪農家同士が互いに学び合う「コミュニティワーク」が、持続可能な酪農経営には不可欠である。 4. 経営戦略と現場観察の両立 (ブルース・ソロルド 氏)ブルース氏は、「どのような酪農を実現したいのか」という根本的な経営戦略の重要性を説きました。 戦略なき観察は活きない: 「何頭飼うか、どれだけの土地を使うか、どんな飼料体系にするか」を明確にした上で、現場での牛の行動や残草量の細かな観察を続けることが求められる。 利益の差は「スキル」の差: 100%放牧型から購入飼料を活用するシステムまで多様な形態があるが、利益に差を生むのはシステムの違いではなく「経営・放牧管理のスキル」である。 データ至上主義: すべての意思決定は「データ(数値による可視化)」に基づくべきである。 5. 放牧を「できる」に変えるための4つのポイント最後に、本セミナーの司会を務めた弊社(ファームエイジ)の高田健次より、放牧を実践し成功させるための総括として、以下の4つのポイントを挙げさせていただきました。 情報を実践へ変える「モチベーションと学習意欲」 草地利用効率を高めるための「データ活用」 ディスカッショングループを通じた「仲間との学び合い」 行政・産業による「多角的な支援体制の活用」 放牧は一人で悩むのではなく、データに基づき、仲間と共に学び合いながら改善していくことが大切です。6. 次回のイベント・セミナー開催について本プロジェクトでは、今後も現場実践を通じた放牧酪農の発展と、持続可能な酪農を担う人材育成を目指し、以下の活動を予定しています。...
ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト 放牧オンラインセミナー2025春 開催レポート
2025年5月9日、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となる「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト」にて、放牧酪農セミナー2025春を開催しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国から50名程の方にご参加いただきました。 今回のセミナーでは、自給飼料の活用、所得向上と時間効率化、技術の普及とモチベーション維持といった重要なポイントに加え、特に「ファームウォーク」という概念に焦点が当てられました。1.ニュージーランド酪農の現状と「ファームウォーク」の重要性 和田氏1-1. ニュージーランド酪農の特性と経営の背景 和田さんは、まず自身の経歴とニュージーランドでの酪農経験を紹介し、同国の酪農産業の現状について説明しました。ニュージーランドの酪農は、国際乳価の変動による影響を受けやすく、酪農家の収入に大きく影響します。しかしながら、乳価が低かった時代でも高い収益性を維持していた背景には、放牧畜産システムと季節繁殖という、効率性に優れた酪農モデルの存在があったことを強調しました。1-2. ファームウォークによる放牧管理と経営の最適化 次に、和田さんは放牧草について、購入飼料と比べて大幅なコスト削減が可能であることを説明しました。そして、自身が経営するポプラファームでの放牧管理の手法を紹介し、その中心にあるのが「ファームウォーク」であると述べました。ファームウォークとは、ライジングプレートメーター(以下RPA)を用いて草量を測定し、放牧計画や飼料管理に活かす管理手法です。RPAによって得た情報をアベレージ・パスチャーカバー(APC)として数値化し、日々の牛の必要飼料量と比較します。そうすることで、放牧ローテーションや移動電気柵の移設、残草量の確認を行っています。また、和田さんは、草地管理を怠るとどのような影響ができるかについても、具体的な事例をしました。自身の牧場で、わずか2週間管理を怠ったことで、30万〜40万ドルの損失が発生したというのです。このデータは参加者に対してもインパクトが大きく、データに基づく精密な管理の重要性を強く訴えました。2.北海道におけるニュージーランド放牧技術の実践 高原牧場代表 高原氏2-1.ニュージーランド技術の導入と成果高原氏は、北海道天塩町での自身の酪農経営において、ニュージーランドの酪農技術、特に「ファームウォーク」の考え方を積極的に導入した事例を紹介しました。ニュージーランドとは規模や自然環境が異なることを認識しつつも、「自分たちの環境にどう落とし込めるか」を常に考え、前向きに技術を取り入れてきたと話しています。その結果、放牧による乳量の増加、飼料コストの削減、農業所得の安定化といった成果を実現。特に、以前はわずかであった草からの乳量が、プロジェクト参加以降大きく増え、現在では年間乳量の半分以上を自給飼料で確保できるようになったと、具体的な数値を交えて説明しました。2-2.改善志向と現場主義が支える持続可能な放牧管理以前勤めていた自動車メーカーで培った「改善意識」や「PDCAサイクル」の考え方を、酪農経営に応用していると述べていました。放牧地の状況を測定した上で、即座に判断・対応する迅速な意思決定を重視しており、これは日々のローテーション管理において特に重要なポイントとしています。さらに、新規就農者とのファームウォークを通じたデータ共有・分析の事例を紹介しました。地域や土壌条件の違いを踏まえながら、「大切なのは、上に生えている牧草が何かを見極め、それをどう活かすかが重要」であると強調しました。また、牧草の成長段階に応じたローテーション管理や、春先の急激な草の成長(スプリングフラッシュ)への対応など、実践的な管理方法にも触れ、現場に根ざした改善型経営の有効性を示しました。3.質疑応答(一部を抜粋)Q|NZでは温暖化の影響はありますか?A|和田さん:そうですね。特にカンタベリー地方において、以前は4~6月にかけて草の成長がかなり鈍っていました。ところが、最近では4~5月でもかなり草が育ちますし、6~7月も年によっては15kgDM/ha程度成長することもあり、明らかに気温が上がってきた実感があります。A|高原さん:こちらはどちらかというと、気温の上昇というよりも、「長雨」が増えてきた印象があります。以前は6月上旬に1番草を収穫するのが通例でしたが、ちょうどその時期に雨が重なるようになり、作業のタイミングがどんどんズレてきています。Q|ファームウォークには個人の草地を見る技術や経験値がとても重要になるように感じました。1日に2回見ることもあるとのことでしたが、その様な条件の中で休暇の確保やワークライフバランスをどのように確保しているのでしょうか。NZではその辺りも含めて手法が確立されているのでしょうか?A|和田さん:理想は毎日自ら草地を確認することですが、家族との時間も重視し、信頼できる従業員に業務を委任する体制を整えています。放牧計画を共有することで、チームでの協働が可能となり、効率的な運営とワークライフバランスが実現できています。また、フィードウェッジ(飼料供給計画)を活用することで、管理の標準化が進み、オーナーが不在でも牧場が問題なく回る仕組みが確立されています。さらに、ニュージーランドでは季節繁殖が基本であり、冬期に搾乳を行わないため、長期休暇の取得も可能になっています。Q|日本や北海道で、酪農経営をどこまで学べるのか?新規就農者にはどんな心構えが必要かA|高原さん:私は、新規就農にあたって大切なことは、(1)覚悟、(2)理論武装(知識の習得)、(3)マインドセット(前向きな姿勢)の3点だと思っています。特にマインドセットは、困難な状況でも前向きに捉える強さを持つこと。日本の酪農では補助飼料が豊富で、“そこそこ”やれてしまう環境があります。だからこそ、あえて上を目指す意識、自分の経営をより良くしていこうという気持ちを持てるかが重要だと思います。A|和田さん:ニュージーランド人の良いところは、“固定観念がない”ことだと思います。いいものがあれば、すぐに取り入れる柔軟さと切り替えの早さがあるんです。例えば南島では、以前は100年も続いた羊農家が、「酪農の方が収益が上がる」と分かった途端に、すぐに酪農に切り替えたりしています。日本でも、例えば高原さんの経営のように、「放牧で収益が上がっている」という事実があるのなら、それを見て“良いものは良い”と素直に認めて学ぶ姿勢が大事だと思います。おそらくニュージーランド人が日本で酪農をしていたら、高原さんの方法を見て、10人中9人はすぐに放牧に切り替えると思いますよ。4.まとめ4-1.酪農を“作業”から“ビジネス”へ:利益を生む牧場経営の鍵 キース・ベタリッジ氏キース氏は酪農を単なる作業ではなくビジネスとして捉え、自給飼料の最大限の活用と利益の最大化を目指すべきであると強調しました。そのためには、過去の慣習に捉われず、常に最新の知識を取り入れ、農場から得られる正確なデータに基づいて経営判断を行うことが不可欠であると述べました。特に、高品質なサイレージ生産、放牧草の効率的な管理と摂取量の最大化、そして市場や牧草の状態変化に合わせた柔軟なプランの見直しと最適化の重要性を指摘しました。4-2.セミナー全体を振り返って ファームエイジ㈱ 高田最後にセミナー全体を振り返り、「自給飼料の活用」「所得向上」「時間効率」、そして「ファームウォーク」が重要なキーワードであったと改めて強調しました。ニュージーランドの技術が北海道でも十分に活用できる可能性を示唆し、今後ファームウォークの実践機会の提供や、具体的な数値を活用した装置管理技術に関する対話の場を設けていく意向を示しました。持続可能な酪農の実現に向け、今後もセミナーを通じて情報共有と議論を継続していくことを伝え、セミナーは終了しました。5.次回の開催について日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。
ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト 放牧オンラインセミナー2025春 開催レポート
2025年5月9日、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となる「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト」にて、放牧酪農セミナー2025春を開催しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国から50名程の方にご参加いただきました。 今回のセミナーでは、自給飼料の活用、所得向上と時間効率化、技術の普及とモチベーション維持といった重要なポイントに加え、特に「ファームウォーク」という概念に焦点が当てられました。1.ニュージーランド酪農の現状と「ファームウォーク」の重要性 和田氏1-1. ニュージーランド酪農の特性と経営の背景 和田さんは、まず自身の経歴とニュージーランドでの酪農経験を紹介し、同国の酪農産業の現状について説明しました。ニュージーランドの酪農は、国際乳価の変動による影響を受けやすく、酪農家の収入に大きく影響します。しかしながら、乳価が低かった時代でも高い収益性を維持していた背景には、放牧畜産システムと季節繁殖という、効率性に優れた酪農モデルの存在があったことを強調しました。1-2. ファームウォークによる放牧管理と経営の最適化 次に、和田さんは放牧草について、購入飼料と比べて大幅なコスト削減が可能であることを説明しました。そして、自身が経営するポプラファームでの放牧管理の手法を紹介し、その中心にあるのが「ファームウォーク」であると述べました。ファームウォークとは、ライジングプレートメーター(以下RPA)を用いて草量を測定し、放牧計画や飼料管理に活かす管理手法です。RPAによって得た情報をアベレージ・パスチャーカバー(APC)として数値化し、日々の牛の必要飼料量と比較します。そうすることで、放牧ローテーションや移動電気柵の移設、残草量の確認を行っています。また、和田さんは、草地管理を怠るとどのような影響ができるかについても、具体的な事例をしました。自身の牧場で、わずか2週間管理を怠ったことで、30万〜40万ドルの損失が発生したというのです。このデータは参加者に対してもインパクトが大きく、データに基づく精密な管理の重要性を強く訴えました。2.北海道におけるニュージーランド放牧技術の実践 高原牧場代表 高原氏2-1.ニュージーランド技術の導入と成果高原氏は、北海道天塩町での自身の酪農経営において、ニュージーランドの酪農技術、特に「ファームウォーク」の考え方を積極的に導入した事例を紹介しました。ニュージーランドとは規模や自然環境が異なることを認識しつつも、「自分たちの環境にどう落とし込めるか」を常に考え、前向きに技術を取り入れてきたと話しています。その結果、放牧による乳量の増加、飼料コストの削減、農業所得の安定化といった成果を実現。特に、以前はわずかであった草からの乳量が、プロジェクト参加以降大きく増え、現在では年間乳量の半分以上を自給飼料で確保できるようになったと、具体的な数値を交えて説明しました。2-2.改善志向と現場主義が支える持続可能な放牧管理以前勤めていた自動車メーカーで培った「改善意識」や「PDCAサイクル」の考え方を、酪農経営に応用していると述べていました。放牧地の状況を測定した上で、即座に判断・対応する迅速な意思決定を重視しており、これは日々のローテーション管理において特に重要なポイントとしています。さらに、新規就農者とのファームウォークを通じたデータ共有・分析の事例を紹介しました。地域や土壌条件の違いを踏まえながら、「大切なのは、上に生えている牧草が何かを見極め、それをどう活かすかが重要」であると強調しました。また、牧草の成長段階に応じたローテーション管理や、春先の急激な草の成長(スプリングフラッシュ)への対応など、実践的な管理方法にも触れ、現場に根ざした改善型経営の有効性を示しました。3.質疑応答(一部を抜粋)Q|NZでは温暖化の影響はありますか?A|和田さん:そうですね。特にカンタベリー地方において、以前は4~6月にかけて草の成長がかなり鈍っていました。ところが、最近では4~5月でもかなり草が育ちますし、6~7月も年によっては15kgDM/ha程度成長することもあり、明らかに気温が上がってきた実感があります。A|高原さん:こちらはどちらかというと、気温の上昇というよりも、「長雨」が増えてきた印象があります。以前は6月上旬に1番草を収穫するのが通例でしたが、ちょうどその時期に雨が重なるようになり、作業のタイミングがどんどんズレてきています。Q|ファームウォークには個人の草地を見る技術や経験値がとても重要になるように感じました。1日に2回見ることもあるとのことでしたが、その様な条件の中で休暇の確保やワークライフバランスをどのように確保しているのでしょうか。NZではその辺りも含めて手法が確立されているのでしょうか?A|和田さん:理想は毎日自ら草地を確認することですが、家族との時間も重視し、信頼できる従業員に業務を委任する体制を整えています。放牧計画を共有することで、チームでの協働が可能となり、効率的な運営とワークライフバランスが実現できています。また、フィードウェッジ(飼料供給計画)を活用することで、管理の標準化が進み、オーナーが不在でも牧場が問題なく回る仕組みが確立されています。さらに、ニュージーランドでは季節繁殖が基本であり、冬期に搾乳を行わないため、長期休暇の取得も可能になっています。Q|日本や北海道で、酪農経営をどこまで学べるのか?新規就農者にはどんな心構えが必要かA|高原さん:私は、新規就農にあたって大切なことは、(1)覚悟、(2)理論武装(知識の習得)、(3)マインドセット(前向きな姿勢)の3点だと思っています。特にマインドセットは、困難な状況でも前向きに捉える強さを持つこと。日本の酪農では補助飼料が豊富で、“そこそこ”やれてしまう環境があります。だからこそ、あえて上を目指す意識、自分の経営をより良くしていこうという気持ちを持てるかが重要だと思います。A|和田さん:ニュージーランド人の良いところは、“固定観念がない”ことだと思います。いいものがあれば、すぐに取り入れる柔軟さと切り替えの早さがあるんです。例えば南島では、以前は100年も続いた羊農家が、「酪農の方が収益が上がる」と分かった途端に、すぐに酪農に切り替えたりしています。日本でも、例えば高原さんの経営のように、「放牧で収益が上がっている」という事実があるのなら、それを見て“良いものは良い”と素直に認めて学ぶ姿勢が大事だと思います。おそらくニュージーランド人が日本で酪農をしていたら、高原さんの方法を見て、10人中9人はすぐに放牧に切り替えると思いますよ。4.まとめ4-1.酪農を“作業”から“ビジネス”へ:利益を生む牧場経営の鍵 キース・ベタリッジ氏キース氏は酪農を単なる作業ではなくビジネスとして捉え、自給飼料の最大限の活用と利益の最大化を目指すべきであると強調しました。そのためには、過去の慣習に捉われず、常に最新の知識を取り入れ、農場から得られる正確なデータに基づいて経営判断を行うことが不可欠であると述べました。特に、高品質なサイレージ生産、放牧草の効率的な管理と摂取量の最大化、そして市場や牧草の状態変化に合わせた柔軟なプランの見直しと最適化の重要性を指摘しました。4-2.セミナー全体を振り返って ファームエイジ㈱ 高田最後にセミナー全体を振り返り、「自給飼料の活用」「所得向上」「時間効率」、そして「ファームウォーク」が重要なキーワードであったと改めて強調しました。ニュージーランドの技術が北海道でも十分に活用できる可能性を示唆し、今後ファームウォークの実践機会の提供や、具体的な数値を活用した装置管理技術に関する対話の場を設けていく意向を示しました。持続可能な酪農の実現に向け、今後もセミナーを通じて情報共有と議論を継続していくことを伝え、セミナーは終了しました。5.次回の開催について日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,04 KPI作成のために...
ビジネスにおいて成功するためには、KPI(主要業績評価指標)設定とデータの活用が不可欠です。本記事では、ニュージーランドの酪農家が実践する『数字を知る』という考え方をご紹介します。酪農経営の改善に役立つKPIの設定やデータ活用のヒントになるでしょう。バックナンバー・vol01_あなたの農業ビジネスと環境・Vol02_数字を知ることのメリット・Vol,03 ストレスとメンタルヘルスビジネスを理解する革新的な世界中のビジネスオーナーは定期的に、自社の利益を前進させるための目標を設定しています。そのためには、現在のビジネスの状況を把握する必要があります。生産レベル、製品の需要、生産効率、機会、製造とサプライチェーンへのスタッフのコミットメント、新しい融資資金の源、経営者と従業員の新しい仕事への対応能力などです。それらの機会を優先順位付けし、近い将来に容易に達成できる最も価値のあるものを選びます。これを行うために、ニュージーランドの酪農場では「自分の数字を知る」と言います。農場で行われるすべてのことは、測定された重量やサイレージの品質、スタッフと動物の健康、スタッフの休暇、使用された肥料、生産された牛乳、繁殖能力、牛乳の品質などで数量化できます。しかし、データの分析なしには数字を知ってもあまり価値がありません。農場のパフォーマンスをランク付けするあなたの農場のデータを地元の農場や地域内の農場と比較します。ニュージーランドで実施されているディスカッショングループでは、農場のオーナーたちはミーティングで他の人と自分の農場のデータについて話し合います。なぜなら、失うよりも得るものがはるかに多いからです。彼らにとって、隣人は競争相手ではありません。すべての酪農家は同じビジネスにいますし、誰でも成功することを望んでいます。それは北海道の酪農家だけでなく、ニュージーランドの酪農家が自分たちの産業が成功することを望んでいるのと同じです。あなたの農場で抱えている問題は、ほぼ間違いなく他の農場でも同様です。成績が悪いことを恥じるのではなく、他の人が喜んであなたの問題を克服するのを手伝ってくれることを喜びましょう。ニュージーランドには、DairyNZデータベース(デイリーベース)内で農場と生産のパフォーマンスを比較するために、9000戸のニュージーランドの酪農家がデータを集めています。しかし、他の人と比較するためにはまず自分の農場の数字を知らなければなりません。優秀な農場は明らかであり、他の農場よりも良くする共通の理由がしばしばあります。農場のパフォーマンスを向上させる方法もし、あなたの農場が高いレベルに達していないならば、目標設定をする必要がありますその後、何を変更できるか、どのように実施するか、新しいリソースが必要か、そしてどのようなスケジュールで変更からの計測可能な結果を達成するかを決定します。例えば、平均乳量を泌乳期間で引き上げるためには何をすればよいか、牧道の改善を依頼すること、牛のひづめの損傷を最小限に抑えるため業者に依頼ができる体制であるかなどです。これらの目標はKPIと呼ばれます。KPIを設定する おそらく、1年間でうまく達成できる目標よりも多くの課題があるでしょう。あなたには十分な現金、動物、機械、労働力、または冬のための十分な畜舎がないかもしれません。改良された牧草種で草地を改善するには、2年かかるかもしれません。家族や雇用されたスタッフ、銀行マネージャー、農場コンサルタントの助けを借りて、次の12ヶ月以内に最大の価値を生み出すKPIを優先順位付けすることがあなたの任務です。最初の年には2つまたは3つのKPIしかないかもしれませんが、その後はもっと多くなるかもしれません。新しいKPIを開始するためのタイムラインを作成したり、年間の途中評価(たとえば、月次); そのKPIの実施と進捗報告を責任を負うスタッフを割り当てたりする必要もあります。KPIの成果を評価するKPIのターゲットが達成されない場合があります。落胆しないで、問題を修正する方法を見つけ、そのKPIのためにタイムラインを再設定します。また、新しいプロセスの作成、実施、および進捗のモニタリングに関与するすべての農場労働者、所有者、およびコンサルタントが必要です。ただしこれを自分ひとりで行わないでください。例えば、放牧の終了時の残余牧草が1,500〜1,600kg乾物質/haであるというKPIは、管理する農場労働者が理解する必要があります。・その数値がどのように見えるか・次に牧草地が再度放牧されるとき、牧草の品質が向上すること・品質が高ければ牧草の利用率が向上し、それにより成長期間中の牧草の生産が増加すること・さらに、毎日同じレベルの補助的なTMR(総合飼料)を与え続けると、牛が牧草の割り当てを十分に食べきれず、牧草が無駄にされ、結果的にコストが高くなる可能性があることこのような理由から、他のKPI(たとえば、飼料コストの削減)を達成することができない場合もあります。農場労働者を巻き込むしばしば日本の農場労働者はこの知識を持つことをあまり許されていません。したがって、マネージャーが休んでいると、労働者は何をすべきかわかりません。その結果、KPIの目標は今年達成されない可能性があります。数字を知ることは、問題や機会を特定し、KPIを実施しながら進捗を監視するために不可欠です。この進捗に関わる人が多ければ多いほど、成功の可能性が高くなります。ニュージーランドでは、優れた農場主は優れたコンサルタントを雇い、年間を通じて銀行マネージャーに財務進捗を報告し、農場スタッフと定期的に会議を開いて農場のパフォーマンスに関する情報を共有します。成功を報酬で称える仕事がうまくいった場合、農場スタッフには報酬が与えられます。これには多くのお金がかかるわけではありませんが、農場労働者は自分の成功に対して良い気持ちを持つことができます。報酬には、研修コースに参加すること、2〜3日間の休暇を与えること、5%の昇給などが含まれます。労働者は感謝されていると感じ、長期間同じ農場で働き続ける可能性が高くなります。このような農場マネージャーは、しばしば農場で働きたい人のリストを持っています。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
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ビジネスにおいて成功するためには、KPI(主要業績評価指標)設定とデータの活用が不可欠です。本記事では、ニュージーランドの酪農家が実践する『数字を知る』という考え方をご紹介します。酪農経営の改善に役立つKPIの設定やデータ活用のヒントになるでしょう。バックナンバー・vol01_あなたの農業ビジネスと環境・Vol02_数字を知ることのメリット・Vol,03 ストレスとメンタルヘルスビジネスを理解する革新的な世界中のビジネスオーナーは定期的に、自社の利益を前進させるための目標を設定しています。そのためには、現在のビジネスの状況を把握する必要があります。生産レベル、製品の需要、生産効率、機会、製造とサプライチェーンへのスタッフのコミットメント、新しい融資資金の源、経営者と従業員の新しい仕事への対応能力などです。それらの機会を優先順位付けし、近い将来に容易に達成できる最も価値のあるものを選びます。これを行うために、ニュージーランドの酪農場では「自分の数字を知る」と言います。農場で行われるすべてのことは、測定された重量やサイレージの品質、スタッフと動物の健康、スタッフの休暇、使用された肥料、生産された牛乳、繁殖能力、牛乳の品質などで数量化できます。しかし、データの分析なしには数字を知ってもあまり価値がありません。農場のパフォーマンスをランク付けするあなたの農場のデータを地元の農場や地域内の農場と比較します。ニュージーランドで実施されているディスカッショングループでは、農場のオーナーたちはミーティングで他の人と自分の農場のデータについて話し合います。なぜなら、失うよりも得るものがはるかに多いからです。彼らにとって、隣人は競争相手ではありません。すべての酪農家は同じビジネスにいますし、誰でも成功することを望んでいます。それは北海道の酪農家だけでなく、ニュージーランドの酪農家が自分たちの産業が成功することを望んでいるのと同じです。あなたの農場で抱えている問題は、ほぼ間違いなく他の農場でも同様です。成績が悪いことを恥じるのではなく、他の人が喜んであなたの問題を克服するのを手伝ってくれることを喜びましょう。ニュージーランドには、DairyNZデータベース(デイリーベース)内で農場と生産のパフォーマンスを比較するために、9000戸のニュージーランドの酪農家がデータを集めています。しかし、他の人と比較するためにはまず自分の農場の数字を知らなければなりません。優秀な農場は明らかであり、他の農場よりも良くする共通の理由がしばしばあります。農場のパフォーマンスを向上させる方法もし、あなたの農場が高いレベルに達していないならば、目標設定をする必要がありますその後、何を変更できるか、どのように実施するか、新しいリソースが必要か、そしてどのようなスケジュールで変更からの計測可能な結果を達成するかを決定します。例えば、平均乳量を泌乳期間で引き上げるためには何をすればよいか、牧道の改善を依頼すること、牛のひづめの損傷を最小限に抑えるため業者に依頼ができる体制であるかなどです。これらの目標はKPIと呼ばれます。KPIを設定する おそらく、1年間でうまく達成できる目標よりも多くの課題があるでしょう。あなたには十分な現金、動物、機械、労働力、または冬のための十分な畜舎がないかもしれません。改良された牧草種で草地を改善するには、2年かかるかもしれません。家族や雇用されたスタッフ、銀行マネージャー、農場コンサルタントの助けを借りて、次の12ヶ月以内に最大の価値を生み出すKPIを優先順位付けすることがあなたの任務です。最初の年には2つまたは3つのKPIしかないかもしれませんが、その後はもっと多くなるかもしれません。新しいKPIを開始するためのタイムラインを作成したり、年間の途中評価(たとえば、月次); そのKPIの実施と進捗報告を責任を負うスタッフを割り当てたりする必要もあります。KPIの成果を評価するKPIのターゲットが達成されない場合があります。落胆しないで、問題を修正する方法を見つけ、そのKPIのためにタイムラインを再設定します。また、新しいプロセスの作成、実施、および進捗のモニタリングに関与するすべての農場労働者、所有者、およびコンサルタントが必要です。ただしこれを自分ひとりで行わないでください。例えば、放牧の終了時の残余牧草が1,500〜1,600kg乾物質/haであるというKPIは、管理する農場労働者が理解する必要があります。・その数値がどのように見えるか・次に牧草地が再度放牧されるとき、牧草の品質が向上すること・品質が高ければ牧草の利用率が向上し、それにより成長期間中の牧草の生産が増加すること・さらに、毎日同じレベルの補助的なTMR(総合飼料)を与え続けると、牛が牧草の割り当てを十分に食べきれず、牧草が無駄にされ、結果的にコストが高くなる可能性があることこのような理由から、他のKPI(たとえば、飼料コストの削減)を達成することができない場合もあります。農場労働者を巻き込むしばしば日本の農場労働者はこの知識を持つことをあまり許されていません。したがって、マネージャーが休んでいると、労働者は何をすべきかわかりません。その結果、KPIの目標は今年達成されない可能性があります。数字を知ることは、問題や機会を特定し、KPIを実施しながら進捗を監視するために不可欠です。この進捗に関わる人が多ければ多いほど、成功の可能性が高くなります。ニュージーランドでは、優れた農場主は優れたコンサルタントを雇い、年間を通じて銀行マネージャーに財務進捗を報告し、農場スタッフと定期的に会議を開いて農場のパフォーマンスに関する情報を共有します。成功を報酬で称える仕事がうまくいった場合、農場スタッフには報酬が与えられます。これには多くのお金がかかるわけではありませんが、農場労働者は自分の成功に対して良い気持ちを持つことができます。報酬には、研修コースに参加すること、2〜3日間の休暇を与えること、5%の昇給などが含まれます。労働者は感謝されていると感じ、長期間同じ農場で働き続ける可能性が高くなります。このような農場マネージャーは、しばしば農場で働きたい人のリストを持っています。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,03 ストレスとメンタルヘルス
ニュージーランド(以下NZ)の農家には、こんな言葉がある。「自分自身の面倒を見なければ、家族や農場の面倒を見られない。自分に問題があることを認識し、その解決に向けて行動を起こすことが大切だ。」” 自己充足 セルフフィリング ”とは、自分の世話をすること。もし自分の生活がストレスだらけだと、子どもたちは農場を継ぎたくないかもしれない。農業は趣味であり、ビジネスでもある。【バックナンバー】・vol01_あなたの農業ビジネスと環境・Vol02_数字を知ることのメリット1.農家の福祉を考える 酪農は多くの人にとって楽しい仕事ですが、時には状況が悪くなり、牧場や家族、友達、さらには銀行との関係で正しい判断ができなくなることもあります。これは北海道の酪農家だけの問題ではなく、世界中の農家が直面する問題です。1-1.農家が直面する問題以下は主な問題点です・乳価が上がらない・燃料代や資材費などのコスト上昇・牛群に病気が広がる・牛の繁殖がうまくいかない・銀行への返済・天候の影響(牧草や作物が育ちにくい)・機械の故障・家族の不調これらの問題はNZの農家でも同じように起こっている。多くの農家はこれらを乗り越えて、すぐに好調な時期を取り戻すが、どう対処すればよいのか分からない人もいる。多くの場合、こうした問題を誰にも話さずに抱え込み、責任を感じて友達との交流も減り、農場を離れたくないと思ってしまう。しかし、正しい解決策を見つけるためには、誰かに助けてもらうことも大切である。NZでは、農家同士の近所付き合いがよく、農業経営について率直に話すことが一般的だ。コンサルタントを含むファーム・ディスカッション・グループでは、成功や問題点をオープンに話し合うことができる。もし「元気がないな」と感じる農家がいたら、その理由が気になるかもしれない。しかし、ただ心配して話すだけでは、問題は解決しない。1-2.酪農家を支援するさまざまな仕組み 積極的に行動することが大切だ。あなたが手を貸すことができるかもしれないし、医師やカウンセラーがサポートしてくれるかもしれない。しかし、何もしないことが一番間違いだ。NZでは農家をサポートするために支援グループが作られている。その一つに、「ビッグ・デイ・アウト」というイベントがあり、地元の農家20~30組が集まって、農場から離れリラックスする時間を持つことができる。このイベントは一見無駄に思えるかもしれないが、実はとても重要な時間だ。農場を離れることが久しぶりになるかもしれないが、リラックスした雰囲気の中で友達と食事をしながら、抱えている問題を話すことで、自分が一人ではないと感じることができる。問題は他の人も経験していることがよくあり、みんなで考えれば解決の手がかりが見つかることが多い。2.アニマルウェルフェア2-1.日本で見たアニマルウェルフェアの現状 日本の多くの牧場でつなぎ牛舎が使われていることに驚いた。牛は冷たく濡れたコンクリートの床に立ち、立ったり座ったりすることしかできない。しかし、最近の牛舎では、牛が歩き回ったり、他の動物と干渉されない場所で休むことができるようになっている。これは大きな進歩だ。しかし、1年の6~7ヶ月は放牧され、濃厚飼料を与えるパーラーまで散歩できる牛舎は、さらに良い進歩だ。北海道では、少数の農家が1年中放牧をしており、これを「ウィンター・ゼロ放牧」と呼んでいる。ある酪農家は、北海道の平均利益の3倍を上げている。冬でも多くの野生動物が外で生活しているため、冬の草がゼロでも牛の福祉は悪くないかもしれない。2-2.アニマルウェルフェアがもたらす利益 アニマルウェルフェア(動物福祉)は牛乳の価値に大きく関わっている。もし牛乳が輸出されたり、都市部の人々が農場の動物福祉に問題があることを知ると、牛乳の価値を保つのが難しくなる可能性がある。牛の生活環境が良くなれば、乳量が増え、病気が減り、利益が増えることが分かっている。良い環境で育てられた牛は、その健康にも良い影響を与える。人間の福祉と動物の福祉は密接に関わっている。なぜなら、具合の悪い酪農家は、牛の具合も悪くなることが多いからだ。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,03 ストレスとメンタルヘルス
ニュージーランド(以下NZ)の農家には、こんな言葉がある。「自分自身の面倒を見なければ、家族や農場の面倒を見られない。自分に問題があることを認識し、その解決に向けて行動を起こすことが大切だ。」” 自己充足 セルフフィリング ”とは、自分の世話をすること。もし自分の生活がストレスだらけだと、子どもたちは農場を継ぎたくないかもしれない。農業は趣味であり、ビジネスでもある。【バックナンバー】・vol01_あなたの農業ビジネスと環境・Vol02_数字を知ることのメリット1.農家の福祉を考える 酪農は多くの人にとって楽しい仕事ですが、時には状況が悪くなり、牧場や家族、友達、さらには銀行との関係で正しい判断ができなくなることもあります。これは北海道の酪農家だけの問題ではなく、世界中の農家が直面する問題です。1-1.農家が直面する問題以下は主な問題点です・乳価が上がらない・燃料代や資材費などのコスト上昇・牛群に病気が広がる・牛の繁殖がうまくいかない・銀行への返済・天候の影響(牧草や作物が育ちにくい)・機械の故障・家族の不調これらの問題はNZの農家でも同じように起こっている。多くの農家はこれらを乗り越えて、すぐに好調な時期を取り戻すが、どう対処すればよいのか分からない人もいる。多くの場合、こうした問題を誰にも話さずに抱え込み、責任を感じて友達との交流も減り、農場を離れたくないと思ってしまう。しかし、正しい解決策を見つけるためには、誰かに助けてもらうことも大切である。NZでは、農家同士の近所付き合いがよく、農業経営について率直に話すことが一般的だ。コンサルタントを含むファーム・ディスカッション・グループでは、成功や問題点をオープンに話し合うことができる。もし「元気がないな」と感じる農家がいたら、その理由が気になるかもしれない。しかし、ただ心配して話すだけでは、問題は解決しない。1-2.酪農家を支援するさまざまな仕組み 積極的に行動することが大切だ。あなたが手を貸すことができるかもしれないし、医師やカウンセラーがサポートしてくれるかもしれない。しかし、何もしないことが一番間違いだ。NZでは農家をサポートするために支援グループが作られている。その一つに、「ビッグ・デイ・アウト」というイベントがあり、地元の農家20~30組が集まって、農場から離れリラックスする時間を持つことができる。このイベントは一見無駄に思えるかもしれないが、実はとても重要な時間だ。農場を離れることが久しぶりになるかもしれないが、リラックスした雰囲気の中で友達と食事をしながら、抱えている問題を話すことで、自分が一人ではないと感じることができる。問題は他の人も経験していることがよくあり、みんなで考えれば解決の手がかりが見つかることが多い。2.アニマルウェルフェア2-1.日本で見たアニマルウェルフェアの現状 日本の多くの牧場でつなぎ牛舎が使われていることに驚いた。牛は冷たく濡れたコンクリートの床に立ち、立ったり座ったりすることしかできない。しかし、最近の牛舎では、牛が歩き回ったり、他の動物と干渉されない場所で休むことができるようになっている。これは大きな進歩だ。しかし、1年の6~7ヶ月は放牧され、濃厚飼料を与えるパーラーまで散歩できる牛舎は、さらに良い進歩だ。北海道では、少数の農家が1年中放牧をしており、これを「ウィンター・ゼロ放牧」と呼んでいる。ある酪農家は、北海道の平均利益の3倍を上げている。冬でも多くの野生動物が外で生活しているため、冬の草がゼロでも牛の福祉は悪くないかもしれない。2-2.アニマルウェルフェアがもたらす利益 アニマルウェルフェア(動物福祉)は牛乳の価値に大きく関わっている。もし牛乳が輸出されたり、都市部の人々が農場の動物福祉に問題があることを知ると、牛乳の価値を保つのが難しくなる可能性がある。牛の生活環境が良くなれば、乳量が増え、病気が減り、利益が増えることが分かっている。良い環境で育てられた牛は、その健康にも良い影響を与える。人間の福祉と動物の福祉は密接に関わっている。なぜなら、具合の悪い酪農家は、牛の具合も悪くなることが多いからだ。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
持続可能な農業”放牧”から学ぶ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト オホーツク地区ディ...
2024年9月16日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するセミナーを北海道興部(おこっぺ)町にて開催致しました。当日は農業従事者、関係団体など、多くの方にご参加いただきました。2022年春よりNZ北海道酪農協力プロジェクトのモニターファームになり、放牧を開始した牧場において、どのように変化していったのかを、NZコンサルタントと参加者でディスカッションを行いました。新規就農者も他の地域から多くの方にご参加いただき、充実したセミナーとなりました。本記事では、現地で行われた内容をご紹介いたします。1.開催概要1-1.開催要項開催日時:2024年9月16日開催場所:興部町 松岡牧場参加人数:約30名(酪農家、地元JA職員、普及員、新規就農予定者ほか)講師:キース・ベタリッジ、Rich Field松岡牧場 松岡洋平ゲスト :高原牧場 高原弘雄、フォンテラチャイナ ミーガン・ロバートソン1-2.ディスカッション内容・フリーストール農家が放牧転換して3年間どのような変化が起こったか・参加者からの質疑応答・NZコンサルタントからのアドバイスと総括2.松岡農場の取組・搾乳頭数 約80頭、草地面積100ha・3年前の2021年にプロジェクトに応募・当時は、牧区割りをせずに10町すべてで放牧をしており、草地に残った部分を掃除刈りしてから再度食べさせていた・現在は、牧区を1haごとに区切り、集約放牧を開始して2年目・配合飼料の使用量が減りましたが、乳量はほぼ変わっていない・まだ改善の余地があるため、皆様からのアドバイスを取り入れたい・2022年9月と2023年9月 に同様のディスカッショングループを開催2-1.高原さんから松岡牧場の放牧に対してアドバイス 頻繁に牧場を訪れて観察し、牧区のサイズが大きすぎて放牧圧が適正でなかったため、以下のアドバイスを行いました。・放牧地の外周にはフェンシングワイヤーを使用し、牧区割りにはピッグティルポールとポリワイヤーを使用する。 牧草が少ない時は牧区面積を広げ、牧草が多い時は狭めることで、放牧圧を調整できるシステムにする。・牛の動線を考慮して牧道を作る。初めは簡易的な道を作り、後に業者によって整備する(傾斜や凹凸を均すこと)。 柵にはフェンシングワイヤーを使用し、ゲートをしっかり設ける。・配管設置を考慮した上で、水槽の位置を決定する。3.キースからのアドバイス NZ酪農のノウハウ紹介・NZは通年放牧が可能で、冬場に畜舎飼いをしない。・集約放牧技術を用いて、毎日転牧や季節による牧区面積の変更を行う。・牛が食べる草の量に応じて牧区面積を調整する技術がある。・NZの一般的な酪農規模は、平均450頭搾乳/面積200町。・日本でも集約放牧技術の考え方を取り入れることが可能であり、成果を上げている農家もいる。・放牧により所得を確保できる可能性がある。・得た情報をすぐに実行できるとは限らないが、アドバイザーやコンサルタントの助言を受けることが成功の鍵となる。・乳生産量だけでなく、農家に最大所得を残すことが重要視されている。・松岡さんの例では、餌代が減少し、乳量が維持されている。4.フィールドでの実習・ディスカッション4-1.土壌の違いを見てみよう・ABCの3か所に分かれて観察、参加者どうしでディスカッション・草の根の張りや、ミミズの有無、スコップが刺さりやすいかを確認~キースからのコメント~土壌分析をしなくともこのように土壌を見ることで違いが分かり価値を知ることができる。今回の土壌と比較して次の改善へのステップとしていただけたらと思う。4-2.草地を見てみよう・1haあたりの乾物量は何kgある草地でしょうか・酪農家から見て草の品質はどうか~キースからのコメント~クローバーは栄養価が高く、根についている根粒菌は空気中の窒素を吸着して土に取り込む重要な役割がある。掃除狩りをして草地管理した結果、クローバーが増えていて草地として栄養価が高くなっている印象がある。牧区割に必要なことは、水槽とポリパイプという配管設置である。5.全体を通じて キースからのコメント 今回も多くの方と放牧の今後について、意見を交わすことができました。NZと日本の酪農を比較すると、相違点や類似点が見られます。NZでは通年放牧が可能であり、冬場に畜舎飼いをすることはありません。集約放牧技術を基盤として、毎日転牧するだけでなく、季節によって牧区面積を変更し、ローテーションの日数を調整します。NZの酪農は、牛が食べる草の量に応じて必要な牧区面積を決定する技術が重視されています。NZでは平均450頭搾乳し、200haの面積で管理していますが、この技術は規模に関わらず、日本の酪農でも応用できるものです。放牧によって所得を確保できると考えています。6.次回の開催予定 詳細は、ウェブサイトまたはSNS(Twitter、インスタグラム)などで発信してまいりますので、お待ちください。情報を受け取りたい方は、お手数ですが弊社まで直接お問合せください。
持続可能な農業”放牧”から学ぶ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト オホーツク地区ディ...
2024年9月16日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するセミナーを北海道興部(おこっぺ)町にて開催致しました。当日は農業従事者、関係団体など、多くの方にご参加いただきました。2022年春よりNZ北海道酪農協力プロジェクトのモニターファームになり、放牧を開始した牧場において、どのように変化していったのかを、NZコンサルタントと参加者でディスカッションを行いました。新規就農者も他の地域から多くの方にご参加いただき、充実したセミナーとなりました。本記事では、現地で行われた内容をご紹介いたします。1.開催概要1-1.開催要項開催日時:2024年9月16日開催場所:興部町 松岡牧場参加人数:約30名(酪農家、地元JA職員、普及員、新規就農予定者ほか)講師:キース・ベタリッジ、Rich Field松岡牧場 松岡洋平ゲスト :高原牧場 高原弘雄、フォンテラチャイナ ミーガン・ロバートソン1-2.ディスカッション内容・フリーストール農家が放牧転換して3年間どのような変化が起こったか・参加者からの質疑応答・NZコンサルタントからのアドバイスと総括2.松岡農場の取組・搾乳頭数 約80頭、草地面積100ha・3年前の2021年にプロジェクトに応募・当時は、牧区割りをせずに10町すべてで放牧をしており、草地に残った部分を掃除刈りしてから再度食べさせていた・現在は、牧区を1haごとに区切り、集約放牧を開始して2年目・配合飼料の使用量が減りましたが、乳量はほぼ変わっていない・まだ改善の余地があるため、皆様からのアドバイスを取り入れたい・2022年9月と2023年9月 に同様のディスカッショングループを開催2-1.高原さんから松岡牧場の放牧に対してアドバイス 頻繁に牧場を訪れて観察し、牧区のサイズが大きすぎて放牧圧が適正でなかったため、以下のアドバイスを行いました。・放牧地の外周にはフェンシングワイヤーを使用し、牧区割りにはピッグティルポールとポリワイヤーを使用する。 牧草が少ない時は牧区面積を広げ、牧草が多い時は狭めることで、放牧圧を調整できるシステムにする。・牛の動線を考慮して牧道を作る。初めは簡易的な道を作り、後に業者によって整備する(傾斜や凹凸を均すこと)。 柵にはフェンシングワイヤーを使用し、ゲートをしっかり設ける。・配管設置を考慮した上で、水槽の位置を決定する。3.キースからのアドバイス NZ酪農のノウハウ紹介・NZは通年放牧が可能で、冬場に畜舎飼いをしない。・集約放牧技術を用いて、毎日転牧や季節による牧区面積の変更を行う。・牛が食べる草の量に応じて牧区面積を調整する技術がある。・NZの一般的な酪農規模は、平均450頭搾乳/面積200町。・日本でも集約放牧技術の考え方を取り入れることが可能であり、成果を上げている農家もいる。・放牧により所得を確保できる可能性がある。・得た情報をすぐに実行できるとは限らないが、アドバイザーやコンサルタントの助言を受けることが成功の鍵となる。・乳生産量だけでなく、農家に最大所得を残すことが重要視されている。・松岡さんの例では、餌代が減少し、乳量が維持されている。4.フィールドでの実習・ディスカッション4-1.土壌の違いを見てみよう・ABCの3か所に分かれて観察、参加者どうしでディスカッション・草の根の張りや、ミミズの有無、スコップが刺さりやすいかを確認~キースからのコメント~土壌分析をしなくともこのように土壌を見ることで違いが分かり価値を知ることができる。今回の土壌と比較して次の改善へのステップとしていただけたらと思う。4-2.草地を見てみよう・1haあたりの乾物量は何kgある草地でしょうか・酪農家から見て草の品質はどうか~キースからのコメント~クローバーは栄養価が高く、根についている根粒菌は空気中の窒素を吸着して土に取り込む重要な役割がある。掃除狩りをして草地管理した結果、クローバーが増えていて草地として栄養価が高くなっている印象がある。牧区割に必要なことは、水槽とポリパイプという配管設置である。5.全体を通じて キースからのコメント 今回も多くの方と放牧の今後について、意見を交わすことができました。NZと日本の酪農を比較すると、相違点や類似点が見られます。NZでは通年放牧が可能であり、冬場に畜舎飼いをすることはありません。集約放牧技術を基盤として、毎日転牧するだけでなく、季節によって牧区面積を変更し、ローテーションの日数を調整します。NZの酪農は、牛が食べる草の量に応じて必要な牧区面積を決定する技術が重視されています。NZでは平均450頭搾乳し、200haの面積で管理していますが、この技術は規模に関わらず、日本の酪農でも応用できるものです。放牧によって所得を確保できると考えています。6.次回の開催予定 詳細は、ウェブサイトまたはSNS(Twitter、インスタグラム)などで発信してまいりますので、お待ちください。情報を受け取りたい方は、お手数ですが弊社まで直接お問合せください。
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,02_数字を知ることのメリット
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトで、コンサルタントとしてアドバイスを行っている「キースベタリッジ氏」による「ニュージーランド酪農最新NEWS」の第二回目の記事です。第二回目は、「数字を知ることのメリット」と題して、ニュージーランド酪農の最新情報をお届けいたします。【バックナンバー】・vol01_キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,01_あなたの農業ビジネスと環境1.農業においてもデータ活用が大切 もし、あなたが 小売金物店を経営していれば、店内にある在庫と数量を把握したり、1~2ヶ月先の計画を立てて仕入れを行ったりして、自分の店が利益を上げているのか、それとも損失を出しているのか(このまま続けていくことが可能なのか)を把握することでしょう。農業も同じです。例えば、飼料の予算を立てるには、飼料コンサルタントを、繁殖方針を決定するには家畜コンサルタントを、病気を治すには獣医師を、その年に必要な肥料を決めるには土壌コンサルタントを、ビジネスモデルが成り立つかどうかを確認するには銀行に相談するでしょう。以前、3日間ニュージーランド(以下NZ)を訪れた日本人の農業職員は、「NZの農業はとても簡単で、酪農家がゲートを開けて牛が草を食べ、牛が中に入ってきて搾乳する」と報告されましたが、そんなことはありません。NZの優秀な酪農家は、正しい決断を下すために、適切なデータが必要だと強調するでしょう。酪農家にとってどのような方針で酪農を行うかは重要です。しかし、草地農業は、さまざまなデータを持つことで、週単位、あるいは日単位の経営規模で管理します。データとは、乳量、牧草の成長率、家畜の成長率、世界の乳製品価格の変動などのことです。2.北海道の酪農家に必要なもの2-1.牧草管理について 酪農家は毎年、生育時期や土壌検査で必要な肥料を把握し、プレートメーターで牧草量と成長速度を測定します。プレートメーターの数値が変動するのは、各パドックで牛が食べたりサイレージにしたりする牧草の量と、牧草の成長の速さ(80kg DM/haまたは120kg DM/ha/日)を示します。それらを基に、牧草の品質が高く維持されるように、牛が農場内を移動する放牧ローテーションの長さを決める必要があります。たとえば、生育が非常に早い春であれば、ローテーションは14日間になるかもしれませんが、生育速度が遅い夏であれば、ローテーションは24日になるかもしれません。ローテーションが遅いほど牧草の生育期間が長くなり、結果的に牧草の量が多くなります。生育速度を頻繁に測定することで、酪農家は2週間後にどれだけの牧草が利用可能か、あるいは余っているかを予測することができます。余るようであれば、1~2パドックを放牧ローテーションから外し、さらに10~14日間生育させてからサイレージ用に刈り取ります。 私が北海道で目にする牧草サイレージのほとんどは、2~3ヶ月間生育し、緑の葉がなく、種頭がたくさんあるため、非常に品質が低いです。なんという機会損失でしょうか!牧草の量が多いときにサイレージを刈るのではなく、品質が高いときに刈るべきです。そうすれば、緑葉を中心としたマメ科の植物がたくさん生え、種子はほぼなくなります。さらに、農家はサイレージの一部を粗飼料分析によるTDNテストすることをお勧めします。TDNは55~60%ではなく、75~85%であるべきです。北海道の非常に優れた放牧酪農家は、この高品質を確保するために年に3回、あるいは4回刈り取ります。牛はこの品質を好み、農家は余剰サイレージをより高い価格で売ることができるはずです。NZではそうしています!2-2.牧草の種類牧草の種類は重要ですが、管理が適切でなければ効果はありません。牧草の質を30%上げるには、白クローバーと赤クローバーを牧草の15~25%で混ぜるとよいでしょう。しかし重要なのは、葉が緑色で種子がほとんど見られないうちに放牧することです。この牧草のTDNは60%ではなく80%であるべきです。適切な管理ができたら、収穫後に播種する牧草の種類を考えましょう。ただし、良い牧草地には適切な量の肥料や排水が必要であることを忘れないでください。2-3.動物の成長率 NZと北海道の酪農家は、若い牛の成長目標を設定する必要があります。目標は、この時期の牛の体重が成牛の80%になることです。なぜなら、体重の少ない牛は、正しく成長した牛に比べて、生涯の乳量が減少する可能性が高いからです。NZでは体重計で体重を測定するのが一般的ですが、胴回りを測定しても構いません。日本で若い牛を育成するうえでは、高水準の補助飼料の給与と、牛の搾乳期間が1頭あたり2.4産と短いことは大きなコストですが、改善方法はいくつかあります。・牛のボディコンディションを見直し、受胎率を向上させる 泌乳ストレス(生産量)を減らすことで、牛のボディコンディションを向上させることができます。受胎率が上がれば、獣医の費用が下がり、牛のストレスが減り、利益が増えます。・補助飼料の給与量を減らし、牧草の摂取量を増やすことで、牛の負担を減らす 屋外の環境は非常に好ましく(蹄へのダメージが少なく、乳房炎も少ない)、やがて牛は生涯に3~4回の分娩を行うようになり、代替牛の必要頭数が減るかもしれません。これがあなたのビジネスモデルではないでしょうか?多くの成功している放牧酪農家は、北海道でこのことを実証しています。彼らのサクセスストーリーを真似してみてはどうでしょうか?ファームシステムが持続可能になるよう、今こそ改革を始める時なのです。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,02_数字を知ることのメリット
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトで、コンサルタントとしてアドバイスを行っている「キースベタリッジ氏」による「ニュージーランド酪農最新NEWS」の第二回目の記事です。第二回目は、「数字を知ることのメリット」と題して、ニュージーランド酪農の最新情報をお届けいたします。【バックナンバー】・vol01_キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,01_あなたの農業ビジネスと環境1.農業においてもデータ活用が大切 もし、あなたが 小売金物店を経営していれば、店内にある在庫と数量を把握したり、1~2ヶ月先の計画を立てて仕入れを行ったりして、自分の店が利益を上げているのか、それとも損失を出しているのか(このまま続けていくことが可能なのか)を把握することでしょう。農業も同じです。例えば、飼料の予算を立てるには、飼料コンサルタントを、繁殖方針を決定するには家畜コンサルタントを、病気を治すには獣医師を、その年に必要な肥料を決めるには土壌コンサルタントを、ビジネスモデルが成り立つかどうかを確認するには銀行に相談するでしょう。以前、3日間ニュージーランド(以下NZ)を訪れた日本人の農業職員は、「NZの農業はとても簡単で、酪農家がゲートを開けて牛が草を食べ、牛が中に入ってきて搾乳する」と報告されましたが、そんなことはありません。NZの優秀な酪農家は、正しい決断を下すために、適切なデータが必要だと強調するでしょう。酪農家にとってどのような方針で酪農を行うかは重要です。しかし、草地農業は、さまざまなデータを持つことで、週単位、あるいは日単位の経営規模で管理します。データとは、乳量、牧草の成長率、家畜の成長率、世界の乳製品価格の変動などのことです。2.北海道の酪農家に必要なもの2-1.牧草管理について 酪農家は毎年、生育時期や土壌検査で必要な肥料を把握し、プレートメーターで牧草量と成長速度を測定します。プレートメーターの数値が変動するのは、各パドックで牛が食べたりサイレージにしたりする牧草の量と、牧草の成長の速さ(80kg DM/haまたは120kg DM/ha/日)を示します。それらを基に、牧草の品質が高く維持されるように、牛が農場内を移動する放牧ローテーションの長さを決める必要があります。たとえば、生育が非常に早い春であれば、ローテーションは14日間になるかもしれませんが、生育速度が遅い夏であれば、ローテーションは24日になるかもしれません。ローテーションが遅いほど牧草の生育期間が長くなり、結果的に牧草の量が多くなります。生育速度を頻繁に測定することで、酪農家は2週間後にどれだけの牧草が利用可能か、あるいは余っているかを予測することができます。余るようであれば、1~2パドックを放牧ローテーションから外し、さらに10~14日間生育させてからサイレージ用に刈り取ります。 私が北海道で目にする牧草サイレージのほとんどは、2~3ヶ月間生育し、緑の葉がなく、種頭がたくさんあるため、非常に品質が低いです。なんという機会損失でしょうか!牧草の量が多いときにサイレージを刈るのではなく、品質が高いときに刈るべきです。そうすれば、緑葉を中心としたマメ科の植物がたくさん生え、種子はほぼなくなります。さらに、農家はサイレージの一部を粗飼料分析によるTDNテストすることをお勧めします。TDNは55~60%ではなく、75~85%であるべきです。北海道の非常に優れた放牧酪農家は、この高品質を確保するために年に3回、あるいは4回刈り取ります。牛はこの品質を好み、農家は余剰サイレージをより高い価格で売ることができるはずです。NZではそうしています!2-2.牧草の種類牧草の種類は重要ですが、管理が適切でなければ効果はありません。牧草の質を30%上げるには、白クローバーと赤クローバーを牧草の15~25%で混ぜるとよいでしょう。しかし重要なのは、葉が緑色で種子がほとんど見られないうちに放牧することです。この牧草のTDNは60%ではなく80%であるべきです。適切な管理ができたら、収穫後に播種する牧草の種類を考えましょう。ただし、良い牧草地には適切な量の肥料や排水が必要であることを忘れないでください。2-3.動物の成長率 NZと北海道の酪農家は、若い牛の成長目標を設定する必要があります。目標は、この時期の牛の体重が成牛の80%になることです。なぜなら、体重の少ない牛は、正しく成長した牛に比べて、生涯の乳量が減少する可能性が高いからです。NZでは体重計で体重を測定するのが一般的ですが、胴回りを測定しても構いません。日本で若い牛を育成するうえでは、高水準の補助飼料の給与と、牛の搾乳期間が1頭あたり2.4産と短いことは大きなコストですが、改善方法はいくつかあります。・牛のボディコンディションを見直し、受胎率を向上させる 泌乳ストレス(生産量)を減らすことで、牛のボディコンディションを向上させることができます。受胎率が上がれば、獣医の費用が下がり、牛のストレスが減り、利益が増えます。・補助飼料の給与量を減らし、牧草の摂取量を増やすことで、牛の負担を減らす 屋外の環境は非常に好ましく(蹄へのダメージが少なく、乳房炎も少ない)、やがて牛は生涯に3~4回の分娩を行うようになり、代替牛の必要頭数が減るかもしれません。これがあなたのビジネスモデルではないでしょうか?多くの成功している放牧酪農家は、北海道でこのことを実証しています。彼らのサクセスストーリーを真似してみてはどうでしょうか?ファームシステムが持続可能になるよう、今こそ改革を始める時なのです。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,01_あなたの農業ビジネ...
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトで、コンサルタントとしてアドバイスを行っている「キースベタリッジ氏」による「ニュージーランド酪農最新NEWS」を開始いたします。第一回目は、「あなたの農業ビジネスと環境」と題して、ニュージーランド酪農の最新情報をお届けいたします。1.ニュージーランド酪農家の使命と環境意識ニュージーランド(NZ)の酪農家が掲げるミッション・ステートメントを作成したことがありますか?私たちの使命は、健康でよく育った家畜から高品質な乳製品を生産することです。動物と環境への配慮は、私たちの特権であり、大きな責任です。[https://www.stewartdairylands.nzで写真をご覧ください。]ニュージーランドの多くの酪農家は、牧場が清潔で整頓されていることに満足しています。彼らは、自分たちの経営が環境に与える影響を最小限に抑え、健全な環境を保つことを強く意識しています。すでに、水質汚染に関する厳しい規制があり、特に硝酸性窒素と特定の有害微生物に対して厳しいものです。温室効果ガス(GHG)の排出を制限するため、酪農家はもはや飼養密度(牛/ヘクタール)を上げたり、排水を未処理のまま水路に流したりすることはできません。すべての河川の両岸に2〜3mのマージン(水辺帯)をフェンスを設置し、牛が水に入らないようにし、河川への肥料の流入を最小限に抑える必要があります。2.農場環境計画戦略の実施と規制酪農家は、地元や中央政府機関と協力して、2025年に完全実施される農場環境計画戦略を策定しました。この計画には、各農場の環境状態が記載され、「泳げる」水質と河川の高い生態学的健全性を確保するための農場管理に対処するための緩和戦略が列挙されています。農家はこれらの慣行を実施し、その計画に影響を与える可能性のある農場の状況や慣行の変更を通知しなければなりません。裁判所は、法律を破った農家に対して非常に多額の罰金を科します。世界的に見て、高品質の牧草は家畜にとって最も安価な飼料です。日本の農家はここで利益、家畜福祉、人間福祉を大きく向上させることができます。酪農家は最大限の利益(最大限のミルクではなく)を目指しており、投入コスト(濃厚飼料や肥料など)の削減も利益率の維持に役立ちます。肥料の窒素は牧草の成長を促進し、飼養密度を高くすることができます。しかし、1ヘクタールあたりの牛の頭数が増えると、牛の尿によって土壌の硝酸態窒素濃度が上昇します。この汚染物質は、放牧頭数を減らすことで最も簡単にコントロールできます。土壌と牧草地を検査し、家畜の飼料需要と牧草地の成長率を測定することで、酪農家は環境への栄養損失を最小限に抑えることができます。3.利益と環境の両立:酪農家の戦略日本の酪農家にとって良い戦略のひとつは、1頭の牛の産次数を増やすことです。これにより、牛の生産寿命が短いため、毎年多くの牛を入れ替えるための諸経費を削減することができます。牛1頭あたりの泌乳回数を平均2.4産から4〜5産に増やすと、代替の飼育頭数が少なくて済むため、牧場の環境への影響を減らしながら利益を増やすことができます。NZの搾乳パーラーの排水は大きな池に集められ、土壌が湿っていなければ毎日牧草地に散布されます。酪農家は、通常土壌が湿りすぎて排水を散布できない冬の間、90日間分の排水を貯蔵しておかなければなりません。このNZの排水は日本の農場排水よりもはるかに希釈されているため、NZの酪農家は排水を散布してから1週間以内に放牧することができます。一般的に、放牧やサイレージ作りに使用するパドックに関係なく、農場面積の20〜25%が排水散布に使用されます。このようなパドックでは、他の農場のパドックよりも肥料コストが少なくなり、利益が増加します。5.環境管理の奨励と農業環境トラスト活動より良い環境管理を奨励するため、NZ農業環境トラスト(NZ Farm Environment Trust)は毎年、最も優れた農法を実践している農家を表彰するイベントを開催しています。全国優勝者には多額の賞金が贈られます。各地域の優勝者の農場では、公開フィールド・デーを開催し、すべての農家に農場の環境管理を奨励します。6.土壌検査と栄養管理の重要性定期的な土壌検査は、夏場の植物の生育に必要な栄養素が制限されていないことを確認するだけでなく、河川を汚染する過剰な栄養素がないことを確認するためにも非常に重要です。北海道の農場で指摘されている問題のひとつに、放牧された牧草地には肥料や排水さえも必要ないと考えている農家がいるが、これは間違いです。良質な牧草は牛に与えることができる最も安価な飼料ですが、植物が必要とする適切な肥料を与えることが重要です。7.有機農業の挑戦と持続可能性:農家の視点有機農業は小規模ながら農家の支持を集めています。有機農業の復活は、除草剤、殺虫剤、動物薬を使わずに栽培された食品を提供することによるものです。マイナス面としては、農場で栽培できる飼料が少なくなるため、農場の飼養率を下げなければならないことです。雑草はヤギで管理できますが、いわゆる「雑草」と呼ばれるものの多くは、実際には嗜好性が高く栄養価も高いです。例えば、雑草のオオバコはルーメン内のメタン生成を抑える一方で、搾乳牛には非常に栄養価の高い餌となります。有機農家はまた、自分たちのシステムは伝統的な農業よりも持続可能だと主張しています。NZの有機農業規制は日本よりも厳しいです。8.河岸の植栽と環境保護:北海道の現状と課題河岸の植栽は、河川の汚染を減らし、野生動物の生息地を提供するための重要な場所ですが、北海道のほとんどの酪農場は自然林によく覆われており、屋外で放牧している牛はほとんどいないため、現時点では河岸システムを確立する必要性はほとんどありません。NZの規制当局にとって、飼養頭数は温室効果ガスを削減するための最大の目標です。現在、ほとんどの農場で飼養率の上限が設定されており、多くの場合、過去の飼養率よりも低く設定されています。これにより、メタンとCO2の排出量/haが削減され、乳量も減少します。9.飼養率規制と温室効果ガス削減:NZの取り組み低い飼養率を補うために、酪農家は農場管理を最適化し(日本では夏期放牧と舎飼がある)、繁殖プログラムを通じて1頭からの生産量を最大化しなければなりません。確かに、配合飼料によるTDN給与という形のサプリメントは乳生産にとってより効率的かもしれませんが、輸入飼料に関連する栽培、収穫、乾燥、保管、道路輸送、輸送、飼料の保管、糞尿の収集と分配にかかるエネルギーと温室効果ガスのコストを考慮する必要があります。10.冬期の畜舎管理と利益:持続可能な農業システムの可能性冬期の畜舎管理は家畜やスタッフのストレスを軽減すると言われていますが、通年放牧されている清水町の出田さんの牧場は北海道の酪農家の平均利益の3倍以上の利益を上げています。冬は補助飼料を与えなければなりませんが、人件費は非常に低いです。私にとって、これは非常に持続可能な農業システムであり、もっと多くの北海道の酪農家が利用できるものだと感じています。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
【放牧酪農 コラム】キース・ベタリッジのNZ酪農最新NEWS_Vol,01_あなたの農業ビジネ...
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトで、コンサルタントとしてアドバイスを行っている「キースベタリッジ氏」による「ニュージーランド酪農最新NEWS」を開始いたします。第一回目は、「あなたの農業ビジネスと環境」と題して、ニュージーランド酪農の最新情報をお届けいたします。1.ニュージーランド酪農家の使命と環境意識ニュージーランド(NZ)の酪農家が掲げるミッション・ステートメントを作成したことがありますか?私たちの使命は、健康でよく育った家畜から高品質な乳製品を生産することです。動物と環境への配慮は、私たちの特権であり、大きな責任です。[https://www.stewartdairylands.nzで写真をご覧ください。]ニュージーランドの多くの酪農家は、牧場が清潔で整頓されていることに満足しています。彼らは、自分たちの経営が環境に与える影響を最小限に抑え、健全な環境を保つことを強く意識しています。すでに、水質汚染に関する厳しい規制があり、特に硝酸性窒素と特定の有害微生物に対して厳しいものです。温室効果ガス(GHG)の排出を制限するため、酪農家はもはや飼養密度(牛/ヘクタール)を上げたり、排水を未処理のまま水路に流したりすることはできません。すべての河川の両岸に2〜3mのマージン(水辺帯)をフェンスを設置し、牛が水に入らないようにし、河川への肥料の流入を最小限に抑える必要があります。2.農場環境計画戦略の実施と規制酪農家は、地元や中央政府機関と協力して、2025年に完全実施される農場環境計画戦略を策定しました。この計画には、各農場の環境状態が記載され、「泳げる」水質と河川の高い生態学的健全性を確保するための農場管理に対処するための緩和戦略が列挙されています。農家はこれらの慣行を実施し、その計画に影響を与える可能性のある農場の状況や慣行の変更を通知しなければなりません。裁判所は、法律を破った農家に対して非常に多額の罰金を科します。世界的に見て、高品質の牧草は家畜にとって最も安価な飼料です。日本の農家はここで利益、家畜福祉、人間福祉を大きく向上させることができます。酪農家は最大限の利益(最大限のミルクではなく)を目指しており、投入コスト(濃厚飼料や肥料など)の削減も利益率の維持に役立ちます。肥料の窒素は牧草の成長を促進し、飼養密度を高くすることができます。しかし、1ヘクタールあたりの牛の頭数が増えると、牛の尿によって土壌の硝酸態窒素濃度が上昇します。この汚染物質は、放牧頭数を減らすことで最も簡単にコントロールできます。土壌と牧草地を検査し、家畜の飼料需要と牧草地の成長率を測定することで、酪農家は環境への栄養損失を最小限に抑えることができます。3.利益と環境の両立:酪農家の戦略日本の酪農家にとって良い戦略のひとつは、1頭の牛の産次数を増やすことです。これにより、牛の生産寿命が短いため、毎年多くの牛を入れ替えるための諸経費を削減することができます。牛1頭あたりの泌乳回数を平均2.4産から4〜5産に増やすと、代替の飼育頭数が少なくて済むため、牧場の環境への影響を減らしながら利益を増やすことができます。NZの搾乳パーラーの排水は大きな池に集められ、土壌が湿っていなければ毎日牧草地に散布されます。酪農家は、通常土壌が湿りすぎて排水を散布できない冬の間、90日間分の排水を貯蔵しておかなければなりません。このNZの排水は日本の農場排水よりもはるかに希釈されているため、NZの酪農家は排水を散布してから1週間以内に放牧することができます。一般的に、放牧やサイレージ作りに使用するパドックに関係なく、農場面積の20〜25%が排水散布に使用されます。このようなパドックでは、他の農場のパドックよりも肥料コストが少なくなり、利益が増加します。5.環境管理の奨励と農業環境トラスト活動より良い環境管理を奨励するため、NZ農業環境トラスト(NZ Farm Environment Trust)は毎年、最も優れた農法を実践している農家を表彰するイベントを開催しています。全国優勝者には多額の賞金が贈られます。各地域の優勝者の農場では、公開フィールド・デーを開催し、すべての農家に農場の環境管理を奨励します。6.土壌検査と栄養管理の重要性定期的な土壌検査は、夏場の植物の生育に必要な栄養素が制限されていないことを確認するだけでなく、河川を汚染する過剰な栄養素がないことを確認するためにも非常に重要です。北海道の農場で指摘されている問題のひとつに、放牧された牧草地には肥料や排水さえも必要ないと考えている農家がいるが、これは間違いです。良質な牧草は牛に与えることができる最も安価な飼料ですが、植物が必要とする適切な肥料を与えることが重要です。7.有機農業の挑戦と持続可能性:農家の視点有機農業は小規模ながら農家の支持を集めています。有機農業の復活は、除草剤、殺虫剤、動物薬を使わずに栽培された食品を提供することによるものです。マイナス面としては、農場で栽培できる飼料が少なくなるため、農場の飼養率を下げなければならないことです。雑草はヤギで管理できますが、いわゆる「雑草」と呼ばれるものの多くは、実際には嗜好性が高く栄養価も高いです。例えば、雑草のオオバコはルーメン内のメタン生成を抑える一方で、搾乳牛には非常に栄養価の高い餌となります。有機農家はまた、自分たちのシステムは伝統的な農業よりも持続可能だと主張しています。NZの有機農業規制は日本よりも厳しいです。8.河岸の植栽と環境保護:北海道の現状と課題河岸の植栽は、河川の汚染を減らし、野生動物の生息地を提供するための重要な場所ですが、北海道のほとんどの酪農場は自然林によく覆われており、屋外で放牧している牛はほとんどいないため、現時点では河岸システムを確立する必要性はほとんどありません。NZの規制当局にとって、飼養頭数は温室効果ガスを削減するための最大の目標です。現在、ほとんどの農場で飼養率の上限が設定されており、多くの場合、過去の飼養率よりも低く設定されています。これにより、メタンとCO2の排出量/haが削減され、乳量も減少します。9.飼養率規制と温室効果ガス削減:NZの取り組み低い飼養率を補うために、酪農家は農場管理を最適化し(日本では夏期放牧と舎飼がある)、繁殖プログラムを通じて1頭からの生産量を最大化しなければなりません。確かに、配合飼料によるTDN給与という形のサプリメントは乳生産にとってより効率的かもしれませんが、輸入飼料に関連する栽培、収穫、乾燥、保管、道路輸送、輸送、飼料の保管、糞尿の収集と分配にかかるエネルギーと温室効果ガスのコストを考慮する必要があります。10.冬期の畜舎管理と利益:持続可能な農業システムの可能性冬期の畜舎管理は家畜やスタッフのストレスを軽減すると言われていますが、通年放牧されている清水町の出田さんの牧場は北海道の酪農家の平均利益の3倍以上の利益を上げています。冬は補助飼料を与えなければなりませんが、人件費は非常に低いです。私にとって、これは非常に持続可能な農業システムであり、もっと多くの北海道の酪農家が利用できるものだと感じています。原文:キース・ベターリッジ翻訳:ファームエイジ株式会社 高田
持続可能な農業”放牧”から学ぶ ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッション...
2023年9月、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するセミナーを北海道興部(おこっぺ)町、さらに東京都でセミナーを開催致しました。当日は農業従事者、関係団体など、多くの方にご参加いただきました。ディスカッショングループでは、実際に放牧を行っている農場で、現地を見ながら草地管理や放牧のノウハウについて、NZコンサルタントと参加者によるディスカッションを行いました。東京セミナーでは、サステナブルデイリーファーミングセミナーと題したセミナーを開催しました。プロジェクトで活躍した酪農家が登壇するだけでなく、その他業界のリーダーや専門家も登壇し、放牧酪農を中心した持続可能な酪農について講演しました。いずれの参加者からも、多くの質問が寄せられ、充実したセミナーとなりました。本記事では、ディスカッショングループの内容をご紹介します。ディスカッショングループ(北海道興部町)2023年9月25日、北海道興部町にある Rich Field 松岡牧場にて、ディスカッショングループを開催いたしました。酪農家様だけでなく、普及員や関係機関など、多くの方にご参加いただくことができました。当日は、舎飼から放牧への転換してどのような変化があったか、放牧酪農の課題点の共有など、活発な意見やディスカッションを行うことができました。1.【ディスカッション1】暑い日に放牧できない時の対処について特に、今年は全国で記録的な猛暑になりました。皆さんの取組やそれに対する意見を聞きました。1-1.松岡牧場の場合・夏の暑さで1ヶ月半外に出せなかった時期があった。そのため、枯草が多くなった。9 月に掃除刈りをして、現状の姿となってしまった。・暑さで放牧できない日をコントロールできなくなり、牛を出しても帰ってきてしまう。・夕方のみの放牧は、昨年より改善されている。草の有効活用によって、配合飼料や TMR の量が減少。1-2. 高原牧場(北海道天塩町)の場合・牛舎の環境がそれほど良くないため、今年のように暑いときは、放牧地の環境の方が良く、放牧を継続していた。・やはり採食量が落ちたり食べ残しがあったが、残った草地に関してはすぐ掃除刈り(トッピング)をした。すぐに草地の状況に合わせてメンテナンスをすることが重要である。アドバイスとしては、松岡さんは、来年の暑い日は、牛舎で快適に過ごさせておき、その間に掃除刈または採草してロールにすることがよいのではないか。(牛舎の環境が良いため)1-3.暑さ対策への意見やアドバイス・NZ では、シェルター設備を導入しているところがある。このような設備投資や木陰を利用して雨や暑さをしのげる管理が必要なのではないか。・夜に食べさせるのが良いと思う。木陰利用も。・外に出てもしのげる場所を作るのが良いと思う。2.【ディスカッション2】放牧地の牧区管理について同じ地域の放牧酪農家でも、管理の仕方は異なります。ディスカッションの中では、主に草の管理と、種をまくなどの更新方法について、意見を聞きました。2-1.草について・枯死して無駄にさせないよう、草は伸びすぎる前にトッピングして牛に先に与えることがひとつの方法である。・ペレニアルライグラスを見ると葉が3枚ある。牛にとって栄養価があるものを少ない量で与えることができる。 草丈に比例して短いと3枚、伸びると4枚となる。・オーチャードは株化していなければ食べるので、管理が大切。株化したものは、根元から刈ってリセットすると株化が和らいで出てきた新芽を食べてくれる。2-2.種をどう撒くか?更新する?・簡易追藩をしており、2 年様子を見て芽が出ているか確認する。季節を考えて行うこと。 放牧地は春、採草地は 8 月(2 番草の収穫後)に行う。・簡易更新で種を撒くポイントは、草が伸びすぎは NG、種を無駄にすることなくいかに太陽光のある環境にするかである。3.【ディスカッション3】 課題のある草地にてグループに分かれて、草地(2ha)の課題点についてディスカッションしました。※草地の課題※・オーチャードが多い。・傾斜地があり、傾斜地からの下部の平地に向けて、汚くなり食べなくなる。・2つの水槽は平地にある。3-1.各チームのアイディア・平地を物理的に小さく牧区分けする。・水槽 2 つを傾斜地に上げて、牛が傾斜地にいる時間を増やす。・水槽を、傾斜地に1つ、平地に1つ置く。3-2.NZコンサルタントのキースベタリッジより牛は平地を好むため、傾斜地に水槽を1つ置く。草地は頭数と草の量によって分けること。NZ では、土壌分析をして必要な栄養分を考える。平地は栄養価が高ければ、傾斜地に施肥して安定的生産を目指す。シェルターに牛が集まるため、木陰などを活かすことで放牧時間の調整ができるだろう。NZ は春と秋に施肥をする。施肥により今足りない養分を補うことが大切。3-3.高原さんより根がどのような生え方をしているか断面をみること。生き物が活発だと土壌が柔らかくなる。根が下に伸びるのがよい。横に伸びると芝のようにマット状になってしまう。この改善点は物理的と化学的と 2 面ある。簡易追藩で溝を作り空気を入れて生き物が動きやすいようにする。雑草が生えやすくなるため ph が酸性に偏らないようにする。根は太くて根粒菌を蓄えたピンク色がよい。4. 全体の感想や印象。 松岡さんへのメッセージ4-1.高原さんより・松岡さんが集約放牧に転換して、1年で劇的に変わっている。・穂が出て乾いている草がなくなった。・「考えて行動をする」 ここが大きな変化である。・失敗は来年に活かして、成功すると楽しくなる!・NZ スタイルで前向きに楽しみを見つけていくことである。・アドバイスとしては、糞尿エリアに牛を入れないで草を刈り取ることを繰り返すこと。 整えてから牛を入れるための草のメンテナンス計画が必要だと思う。4-2.NZコンサルタントのキースより・収益や労働時間の効果はまだこれからだが、この1年の成果は素晴らしい。・働き方や時間を無駄にしないように、情報を共有してディスカッションを続けていって欲しい。・草の成長のマネジメントをすること、余剰分の有効化への取組が必要である。5.【まとめ】ファームエイジ株式会社 高田本プロジェクトでは、このように農家さん同士が共有した情報について、普及させることも目的としています。農業って楽しいよね!となるように。NZ では、隣の農家は競合という考え方ではありません。大切なことは、変化に挑み成功できたことを地域や人に伝えていくことです。プロジェクトやセミナーなどの取組は引き続き行っていきます。ウェブサイトやSNSなどで発信していきますので、ご興味のある方や、次回開催時に事前の連絡がほしい方は、お気軽にお問合せください。 全国送料無料でお届け!まずは資料請求からはじめてみる...
持続可能な農業”放牧”から学ぶ ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッション...
2023年9月、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するセミナーを北海道興部(おこっぺ)町、さらに東京都でセミナーを開催致しました。当日は農業従事者、関係団体など、多くの方にご参加いただきました。ディスカッショングループでは、実際に放牧を行っている農場で、現地を見ながら草地管理や放牧のノウハウについて、NZコンサルタントと参加者によるディスカッションを行いました。東京セミナーでは、サステナブルデイリーファーミングセミナーと題したセミナーを開催しました。プロジェクトで活躍した酪農家が登壇するだけでなく、その他業界のリーダーや専門家も登壇し、放牧酪農を中心した持続可能な酪農について講演しました。いずれの参加者からも、多くの質問が寄せられ、充実したセミナーとなりました。本記事では、ディスカッショングループの内容をご紹介します。ディスカッショングループ(北海道興部町)2023年9月25日、北海道興部町にある Rich Field 松岡牧場にて、ディスカッショングループを開催いたしました。酪農家様だけでなく、普及員や関係機関など、多くの方にご参加いただくことができました。当日は、舎飼から放牧への転換してどのような変化があったか、放牧酪農の課題点の共有など、活発な意見やディスカッションを行うことができました。1.【ディスカッション1】暑い日に放牧できない時の対処について特に、今年は全国で記録的な猛暑になりました。皆さんの取組やそれに対する意見を聞きました。1-1.松岡牧場の場合・夏の暑さで1ヶ月半外に出せなかった時期があった。そのため、枯草が多くなった。9 月に掃除刈りをして、現状の姿となってしまった。・暑さで放牧できない日をコントロールできなくなり、牛を出しても帰ってきてしまう。・夕方のみの放牧は、昨年より改善されている。草の有効活用によって、配合飼料や TMR の量が減少。1-2. 高原牧場(北海道天塩町)の場合・牛舎の環境がそれほど良くないため、今年のように暑いときは、放牧地の環境の方が良く、放牧を継続していた。・やはり採食量が落ちたり食べ残しがあったが、残った草地に関してはすぐ掃除刈り(トッピング)をした。すぐに草地の状況に合わせてメンテナンスをすることが重要である。アドバイスとしては、松岡さんは、来年の暑い日は、牛舎で快適に過ごさせておき、その間に掃除刈または採草してロールにすることがよいのではないか。(牛舎の環境が良いため)1-3.暑さ対策への意見やアドバイス・NZ では、シェルター設備を導入しているところがある。このような設備投資や木陰を利用して雨や暑さをしのげる管理が必要なのではないか。・夜に食べさせるのが良いと思う。木陰利用も。・外に出てもしのげる場所を作るのが良いと思う。2.【ディスカッション2】放牧地の牧区管理について同じ地域の放牧酪農家でも、管理の仕方は異なります。ディスカッションの中では、主に草の管理と、種をまくなどの更新方法について、意見を聞きました。2-1.草について・枯死して無駄にさせないよう、草は伸びすぎる前にトッピングして牛に先に与えることがひとつの方法である。・ペレニアルライグラスを見ると葉が3枚ある。牛にとって栄養価があるものを少ない量で与えることができる。 草丈に比例して短いと3枚、伸びると4枚となる。・オーチャードは株化していなければ食べるので、管理が大切。株化したものは、根元から刈ってリセットすると株化が和らいで出てきた新芽を食べてくれる。2-2.種をどう撒くか?更新する?・簡易追藩をしており、2 年様子を見て芽が出ているか確認する。季節を考えて行うこと。 放牧地は春、採草地は 8 月(2 番草の収穫後)に行う。・簡易更新で種を撒くポイントは、草が伸びすぎは NG、種を無駄にすることなくいかに太陽光のある環境にするかである。3.【ディスカッション3】 課題のある草地にてグループに分かれて、草地(2ha)の課題点についてディスカッションしました。※草地の課題※・オーチャードが多い。・傾斜地があり、傾斜地からの下部の平地に向けて、汚くなり食べなくなる。・2つの水槽は平地にある。3-1.各チームのアイディア・平地を物理的に小さく牧区分けする。・水槽 2 つを傾斜地に上げて、牛が傾斜地にいる時間を増やす。・水槽を、傾斜地に1つ、平地に1つ置く。3-2.NZコンサルタントのキースベタリッジより牛は平地を好むため、傾斜地に水槽を1つ置く。草地は頭数と草の量によって分けること。NZ では、土壌分析をして必要な栄養分を考える。平地は栄養価が高ければ、傾斜地に施肥して安定的生産を目指す。シェルターに牛が集まるため、木陰などを活かすことで放牧時間の調整ができるだろう。NZ は春と秋に施肥をする。施肥により今足りない養分を補うことが大切。3-3.高原さんより根がどのような生え方をしているか断面をみること。生き物が活発だと土壌が柔らかくなる。根が下に伸びるのがよい。横に伸びると芝のようにマット状になってしまう。この改善点は物理的と化学的と 2 面ある。簡易追藩で溝を作り空気を入れて生き物が動きやすいようにする。雑草が生えやすくなるため ph が酸性に偏らないようにする。根は太くて根粒菌を蓄えたピンク色がよい。4. 全体の感想や印象。 松岡さんへのメッセージ4-1.高原さんより・松岡さんが集約放牧に転換して、1年で劇的に変わっている。・穂が出て乾いている草がなくなった。・「考えて行動をする」 ここが大きな変化である。・失敗は来年に活かして、成功すると楽しくなる!・NZ スタイルで前向きに楽しみを見つけていくことである。・アドバイスとしては、糞尿エリアに牛を入れないで草を刈り取ることを繰り返すこと。 整えてから牛を入れるための草のメンテナンス計画が必要だと思う。4-2.NZコンサルタントのキースより・収益や労働時間の効果はまだこれからだが、この1年の成果は素晴らしい。・働き方や時間を無駄にしないように、情報を共有してディスカッションを続けていって欲しい。・草の成長のマネジメントをすること、余剰分の有効化への取組が必要である。5.【まとめ】ファームエイジ株式会社 高田本プロジェクトでは、このように農家さん同士が共有した情報について、普及させることも目的としています。農業って楽しいよね!となるように。NZ では、隣の農家は競合という考え方ではありません。大切なことは、変化に挑み成功できたことを地域や人に伝えていくことです。プロジェクトやセミナーなどの取組は引き続き行っていきます。ウェブサイトやSNSなどで発信していきますので、ご興味のある方や、次回開催時に事前の連絡がほしい方は、お気軽にお問合せください。 全国送料無料でお届け!まずは資料請求からはじめてみる...