2026年5月29日、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、そして弊社ファームエイジ株式会社の共催による「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト 放牧オンラインセミナー2026春」を開催いたしました。

当日は、現役の酪農家さんをはじめ、関係団体の方々、新規就農を目指す方、さらには海外での放牧経験を持つ方など、約70名もの皆様にオンライン(Zoom)でご参加いただきました。
ニュージーランドから放牧のスペシャリストであるキース・ベタリッジ氏とブルース・ソロルド氏を迎え、北海道で実践する酪農家さんを交えて行われた熱意あふれる議論の様子を、ダイジェストでお届けします!
1.北海道の酪農家による「集約放牧」実践事例
まずは、北海道で実際に放牧へ取り組み、大きな成果を上げているお二人の酪農家さんから、リアルな現場の声をお話しいただきました。
2-1. 小区画管理による「集約放牧」への転換(興部町・リッチフィールド/松岡洋平 氏)

フリーストール牛舎の建設後、思うように放牧が進まず本プロジェクトに参加したという松岡氏。
従来型の放牧から、放牧地を16〜17の小区画(牧区)に分けて細かく管理する「集約放牧」へと大きな転換を図りました。
3年間の実践を通じ、牛が放牧草を効率よく採食できるようになり、結果として配合飼料の給与量削減に成功。現在は近隣の離農跡地も活用し、さらなる放牧地の拡大を進めているという力強いご報告をいただきました。
2-2. 「1頭当たり」から「1ヘクタール当たり」の経営へ(天塩町・高原牧場/高原弘雄 氏)

高原氏のお話で非常に印象的だったのは、その「発想の転換」です。
従来の「1頭当たりの乳量」を追求する考え方から、「1ヘクタール当たりの収益」を重視する土地利用型経営へシフト。現在は最大43牧区を活用した集約放牧を実践されています。
これにより、飼料コストや労働時間を大幅に削減し、外部環境(飼料価格の高騰など)に左右されにくい強固な収益構造を構築。
「放牧は感覚ではなく、改善の積み重ね。観察とデータを基にした意思決定が重要である」という言葉には、多くの参加者が頷いていました。
2.本場NZの専門家と考える、放牧技術と経営マインド
セミナー後半のディスカッションでは、ニュージーランドの専門家2名を交え、放牧を成功させるための考え方や課題について深掘りしました。
3.放牧成功のための三原則 (キース・ベタリッジ 氏)

キース氏は、放牧成功の鍵として「搾乳施設と放牧地の距離」を挙げ、従来の舎飼い中心の固定観念を見直す必要性を指摘しました。
- 草地管理の徹底が最優先: 品種や牧草の種類にこだわる前に、まずは今の草地管理を徹底することが経営改善への近道。
- 外で学ぶ文化を持つ: 酪農家同士が互いに学び合う「コミュニティワーク」が、持続可能な酪農経営には不可欠である。
4. 経営戦略と現場観察の両立 (ブルース・ソロルド 氏)
ブルース氏は、「どのような酪農を実現したいのか」という根本的な経営戦略の重要性を説きました。

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戦略なき観察は活きない:
「何頭飼うか、どれだけの土地を使うか、どんな飼料体系にするか」を明確にした上で、現場での牛の行動や残草量の細かな観察を続けることが求められる。 -
利益の差は「スキル」の差:
100%放牧型から購入飼料を活用するシステムまで多様な形態があるが、利益に差を生むのはシステムの違いではなく「経営・放牧管理のスキル」である。 - データ至上主義: すべての意思決定は「データ(数値による可視化)」に基づくべきである。
5. 放牧を「できる」に変えるための4つのポイント
最後に、本セミナーの司会を務めた弊社(ファームエイジ)の高田健次より、放牧を実践し成功させるための総括として、以下の4つのポイントを挙げさせていただきました。

- 情報を実践へ変える「モチベーションと学習意欲」
- 草地利用効率を高めるための「データ活用」
- ディスカッショングループを通じた「仲間との学び合い」
- 行政・産業による「多角的な支援体制の活用」
放牧は一人で悩むのではなく、データに基づき、仲間と共に学び合いながら改善していくことが大切です。
6. 次回のイベント・セミナー開催について
本プロジェクトでは、今後も現場実践を通じた放牧酪農の発展と、持続可能な酪農を担う人材育成を目指し、以下の活動を予定しています。
- 2026年9月中旬: 北海道興部町でのディスカッショングループ開催
- 秋以降: 札幌および東京でのセミナー開催
日程や詳細が確定次第、当ファームエイジメディアや公式SNS等でご案内いたします。ぜひチェックしてください。